【競馬】馬のことが分からなくても勝てる方法を考えた【オッズの歪み理論】
競馬で予想せずに勝てないか? 馬連と馬単のオッズを見比べるだけで期待値プラスの買い目を見つける「オッズの歪み理論」を、数式で組み立てて実データで検証する。
中尾はたまに競馬をする。
競馬は、つくづくギャンブルとして素晴らしいものだと思う。
具体的に素晴らしいと思う点は
- 人によって判断軸が大きく違う。過去の同様のレースを重視する人もいれば、その馬の過去に注目する人もいる。
- 謎の「展開読み」がある。玄人ほど展開を語り、展開を元に予想をしている。そして、レース後に買った負けたで騒いでいるものの、展開の答え合わせや反省をしている人を(中尾は)見たことがない。
- トータルで勝ち越している人が多い。もう少し言うと、勝ち越していると自認している人が多い。
何が言いたいかと言うと、競馬はギャンブルにおいて比較的長い歴史があり、尚且つ実証の場も豊富に提供されているにも関わらず、一向に再現性のない予想と博打が、博徒の謎の自信の元に続いているのである。
そして、ポーカーやスロット・パチンコと違い、競馬で生計を立てている人の数も圧倒的に少ない(中尾調べ)。
これだけ勝てないギャンブルにも関わらず、多くの人が長い間魅了されているのは、それだけギャンブルとしての完成度が高いのだろう。
かく言う中尾も、全然勝てないが、友人に誘われた時などは競馬に行く。
夢は追いたい。でも取りこぼしたくない。そんな思いから、競馬初心者の中尾は「三連単ボックス」で買うことが多い。
競馬やる人なら分かると思うが、これは三連複で買うのと変わらない。
特定の3頭の馬を、1-2-3, 1-3-2, 2-1-3, 2-3-1, 3-1-2, 3-2-1の6通りの順位予想で買っているので、3頭順位不問TOP3の三連複と同じなのである。
しかし、本当に変わらないのだろうか?
買い目は同じなのだが、オッズは別に計算されている(三連単・三連複ごとに計算されている)とすると、「三連単ボックスで買うより、三連複で買った方がお得!」となるケースがあるのではないだろうか?
ということで、本記事では「同じ買い方なのにオッズが違うということは、勝てる買い方が存在するのではないか?」ということを考察していこうと思う。
※以下は、それぞれ別に計算されている前提で話を進めます。競馬素人なので、違ったら教えてください。
※後に出てきますが、他にも色々と前提を置いています。
※馬券を買う際は、個人の責任のもと買ってください。
よくよく見るとオッズが歪んでいる
話を簡単にするために、馬単-馬連(馬複)で考えてみる。
馬単とは、1着と2着の馬をそれぞれ当てる買い方。馬連とは、1着・2着になる馬を順不同で当てる買い方である。
- 馬単 A→B:Aが1着、Bが2着で当たり
- 馬単 B→A:Bが1着、Aが2着で当たり
- 馬連 A-B:AとBが1着・2着を独占すれば、順番を問わず当たり
以下は2026/5/3に高知で行われた重賞、黒潮皐月賞(3歳)の馬単確定オッズである。

6-12と12-6に注目して欲しい(この馬が誰なのかは知らない。倍率が高そうなので、あまり本命馬ではないのだろう)。
- 6-12の順に馬単を買った場合のオッズは約546倍
- 12-6の順に馬単を買った場合のオッズは約465倍
この馬単を100円ずつ買うとすると、200円使って大体46,500円〜54,600円返ってくる。
ということは、この馬単を2つ同時に買うということは、ざっくり230~270倍くらいのオッズの馬連を買うと言うことになるはずである。
では、6-12の馬連を見てみよう。

脅威の357倍である。
先ほどと同じように200円でこの馬連を買うと、35,700円になって返ってくる。
となると、少なくとも「6-12を馬単ボックスで買うくらいなら、馬連で買った方が良い」というのは間違いなさそうである(この現象を、本記事では「オッズの歪み」と呼ぶこととする)。
だが、この馬連が勝てる(期待値的にプラスである)保証はどこにもない。
6も12もめっちゃ足が遅いかもしれず、1000倍くらいのオッズがないと買えないかもしれない。
だが、基本的には競馬の期待値は75~80%くらい(ハウスエッジが20~25%くらい)なので、適当に買っていたら75~80%くらいの収支に収まりそうなものである。
と言うことは、「平均すると大体75~80%くらいの期待値。なら、同じ買い方の馬単と馬連であまりにも差があったら、片方の期待値が40%でもう片方が110%、みたいなことになっている」可能性はあるのではないだろうか?
ベースになる前提: 控除率は固定されている
競馬の払戻率は券種グループごとに決まっている。馬連・馬単・ワイドはすべて同じグループで、払戻率はおよそ 77.5%。100円賭けたら、平均で77.5円返ってくる胴元設定だ。残りの22.5%が胴元の取り分(控除率)になる。
ここで理論の土台になる前提を置く。
「同じ買い目を、馬連でも馬単でも買った場合、その2つを合わせた平均の期待値は77.5%になる」
馬連も馬単も同じ控除率グループなのだから、両方に等額ずつ賭ければ、トータルでは券種の標準値である77.5%に落ち着くはずだ ―― という仮定である。この前提の強さ・弱さについては最後にちゃんと触れる。まずはこの前提に乗って話を進める。
オッズの歪み理論:乖離が大きければ、片方は100%を超える
「AとBで決着」という同じ買い目に、2つのオッズが見えているとする。
- 馬単のオッズから算出した「馬連ならこのくらいのはず」というオッズ(=馬単ボックスで買った場合のオッズ)
- 実際に表示されている馬連のオッズ
1と2は同じ買い目を指しているのだから、本来なら一致するはずだ。だが現実のオッズは歪む。馬連を買う人と馬単を買う人は層も思考も違うからだ。
ここでポイントなのは、1と2のどちらが「正しい」かは決めなくていい、ということ。決めるのは「1と2の平均が77.5%」という前提だけ。
具体例で計算する
1のオッズを5倍、2のオッズを10倍としよう。
この買い目に、1の買い方と2の買い方で100円ずつ、計200円賭けたとする。前提により、200円賭けたときの平均払戻は 200 × 0.775 = 155円。
当たったときに返ってくる金額は、1から 100 × 5 = 500円、2から 100 × 10 = 1000円、合わせて1500円。外れれば0円。
本当に当たる確率(胴元が控除回収のために収束すべき確率)を p とすると、期待払戻は p × 1500円。これが155円に等しいのだから、
p × 1500 = 155
p = 155 / 1500 ≒ 0.1033(約10.3%)という具合で、両方買った場合の勝率(すなわち、収束すべき確率)が計算できる。
確率さえ分かれば、片方ずつの期待値が出る。
買い方 | オッズ | 100円買ったときの期待払戻 | 期待値 |
|---|---|---|---|
| 5倍 | 0.1033 × 5 × 100 = 51.7円 | 51.7% |
| 10倍 | 0.1033 × 10 × 100 = 103.3円 | 103.3% |
③は期待値103.3%。100円が平均103円になる。理論上、買えば勝てる馬券である。一方の②は51.7%で、標準の77.5%よりさらに沈んでいる。片方が浮けば、もう片方はそのぶん沈む。シーソーになっている。
公式 ―― いつ「買い」になるのか
低いほうのオッズを a、高いほうのオッズを b とする。同じ計算を一般化すると、本当の確率は
p × (a + b) = 0.775 × 2
p = 1.55 / (a + b)高いほうのオッズ b で買ったときの期待値は
EV = p × b = 1.55 × b / (a + b)これが100%(=1)を超える条件を解くと、こうなる。
b > a / 0.55 ≒ 1.82 × a高いほうのオッズが、低いほうの約1.82倍を超えたら、高いほうの馬券は期待値100%超える。
使い方
実戦の手順はシンプルだ。
- 狙った2頭について、馬単 A→B と B→A のオッズ、馬連 A-B のオッズを見る。
- 馬単2点の「合成オッズ」を出す。※
- 馬連のオッズと、馬単の合成オッズを見比べる。高いほうが低いほうの1.82倍を超えていたら、高いほうが買い目。
※1 / (1/オッズ_A→B + 1/オッズ_B→A) で計算できる。しかし、厳密にはこれらの事象は独立ではないので、このようなオッズの算出をして良いかは要精査
名も知らぬ6-12馬連を買っても良いか
先ほどの黒潮皐月賞の例で考えてみよう。
- 6-12の順に馬単を買った場合のオッズは約546倍
- 12-6の順に馬単を買った場合のオッズは約465倍
- 6と12の馬連を買った場合のオッズは約357倍
であった。
まず1の馬単ボックスのオッズは約254倍。
2の馬連のオッズ357倍のため、357 ÷ 254 = 1.4のことから、「オッズに歪みはあるが買えるほどではない」と分かる。
具体的な期待値は、
p = 1.55 / (a + b)
a = 254, b = 357より、
p = 1.55 / 611
ゆえに、期待値は
EV(a) = (1.55 / 611) × 254 = 64.4%
EV(b) = (1.55 / 611) × 357 = 90.6%つまり、「前情報一切なしでオッズから適当に6-12の馬連を買えば、約90%の回収が望める」ということである。
補足
ここまで威勢のいい話をしてきたが、この理論は色々な前提を置いた概算であり、かつ机上論である。
実際にはいくつかのことに注意する必要がある:
- すべては 「1と2の平均がちょうど77.5%」 という前提に乗っている。だが控除率77.5%が厳密に保証しているのは、「馬単という券種で、全買い目のオッズ逆数の合計が一定」ということだけだ。1と2という特定の2点だけを取り出して平均したら77.5%ぴったり、という保証はない。
- また、確定オッズはレースが終了するまで分からない。ある程度最新オッズを見て予測することはできるものの、他の人も同様の考え方をしていた場合、確定オッズの歪みは解消されてしまう。
- この事象は「馬連と馬単」「三連複と三連単」での買い目に乖離が起きる場合に起こる。すなわち、多くの人が参加するような重賞レースではまず起きないと考えて良いだろう。地方競馬でおじさんしか見ていないような小さなレースで狙う必要がある。
- さらに言えば、「オッズの歪み」が発生して買えるような状況でも、少額で買う必要がある。小さなレースでオッズが歪んでいる馬券を買うと、自分の買い足しによりオッズが下がってしまうからだ。
まとめ
オッズの歪み理論を1枚に圧縮するとこうなる。
- 馬単2点(A→B と B→A)と馬連 A-B は、同じ条件で当たる賭け。
- 同じ賭けに2つの値段がついているなら、オッズの高いほうが得。
- 馬連・馬単は控除率が同じ(約77.5%)。両方買えば平均は77.5%という前提を置く。
- 高いほうの期待値は
1.55 × b / (a + b)。これが100%を超える条件はb / a > 1.82のとき。 - ただし前提(2点の平均=77.5%)は自明ではない。実戦では大きな乖離だけを狙うのが安全。
理論としては弱いかもしれないが、良いのだ。どうせみんな、馬券を買う理由が欲しいだけなんだから。